色々おしゃべり 17
2013年03月30日

近頃のテレビ番組では、不謹慎だったり非常識だったりする人たちをスタジオに呼び、タレントたちがその人について色々意見を述べたり説教したりするという類のものが人気のようだ。
こういうスタイルの番組は、制作費が参加タレントたちへの出演料のみと、かなり割安に抑えられるというメリットがあるのだろう。
が、気になるのは、その説教のターゲットにされる出演者の心境である。
如何にも、感覚が世間の価値観とはズレていると思われる女性たちをスタジオへ呼び出して、タレントたちがそんな生き方に喝を入れるという手法なのだが、毎度思うのは、叱られることが判りながら、何故、彼女たちはスタジオへ登場するのだろう・・・と、いうことである。
YAHOO!ニュースを読んでいたら、
「あの番組に出たことで、婚約者に婚約を破棄された。わたしは、『男性からもらったブランド品を転売しているキャバ嬢もいる』と、番組スタッフに話しただけで、自分が転売しているなんて一言も言っていない。しかも、わたしのことをキャバ嬢と紹介していたが、わたしの本業はブランドショップの社長で、キャバクラ勤めはあくまでも副業。番組には、わたしの仕事を紹介してくれると言うので出演をOKしたのだが、あのように侮辱的なことを言われることが判っていたら、出演なんかしなかった」
と、立腹している番組出演者もいると、書かれていた。
テレビ局側の話としては、「まるで騙して出演させたかのように思われているようだが、彼女には出演してもらう理由も伝えていて、承諾ももらった」と、真っ向から食い違っている。
この番組に限ったことではないのだが、一人をやり玉にあげて激論する番組の受けがいいという背景には、不景気が長引き過ぎたために「金持ちは敵。楽して儲けている奴には鉄槌を!」という風潮の視聴者心理が多分に影響しているのではないかと推測される。
世の中を舐めているような女性をスタジオへ呼び出しては、その生き方に疑問を呈し、叱咤し、謝罪させ、更生させることで視聴者は溜飲を下げる。
上記の「騙された」という女性は、ある意味例外なのだろうが、もしかしたら、実は、この番組に呼び出される多くのターゲット女性たちは、おそらく叱られる損な役回りを納得ずくで引き受けることで、視聴率アップに一役買っているのではないだろうかとも思えるのである。
以前は、勧善懲悪といえば時代劇や刑事ドラマの世界だったが、ドラマ撮影にはお金がかかる。
そこで、手っ取り早く安上がりに勧善懲悪が可能な番組作りを模索した結果が、こうしたスタジオでの説教番組に落ち着いたのではないかと思われる。 続きを読む