観光地に未来はあるか?・・・・・63
2009年06月14日
~ 今 日 の 雑 感 ~
観光地に未来はあるか?
天然温泉とスキー場で有名な県下の観光地は、おしなべて夏場の観光業が不得手だと言われます。
特に、平成の大合併で、あえて自立を選んだ観光業中心の自治体にとって、これは、今後ますます大きな課題となって行くはずです。
もはや、人々の趣味の多様化もあって、以前のように温泉とスキーだけを目玉にした誘客に頼ることは出来ず、観光業そのものが頭打ちとなっている現在において、他の観光地との差別化を図るためには、どうしても、これまで手薄であった夏場の魅力の開花に着手しなければ、地域全体が立ち行かない事態になりつつあるのです。
たとえば、自立の道を選んだ野沢温泉村も、そんな夏季の集客には頭を悩ませており、最近になってようやく検討会を設けることになったそうです。、飯山市の戸狩温泉スキー場などが、1990年代半ばから既にグリーンシーズンの小中学生向け自然体験学習の受け入れを始めたことに比べれば、実に、遅いスタートといえます。

しかし、野沢温泉村には、山や湖があり、同村がこれを本格的に活用し始めたなら、かなりの効果を上げるのではないかという試算もあります。
一昨年、わたしのところにも、自治体からグリーンシーズンにおける地域の活性化に関するアンケート調査票が送られて来たので、とにかく、街が沈滞ムードでは、せっかく来てくれた観光客もガッカリし、リピーターにはなってくれないだろうから、とにかく、街中に人間の姿を登場させることから始めた方がいいのではないかと、提案しました。
たとえば、あでやかに着飾った芸者衆に日に一度は街を歩いてもらうとか、観光客には、出来るだけ徒歩で観光をしてもらうために、街中の名所旧跡を巡りながら、各商店などに足を止められるような、「ご長寿・健康コース」「美肌・ダイエットコース」「ニコニコ・ファミリーコース」等々を設けてみるとか、はたまた、一般の観光客飛び入りで、既婚未婚を問わない「夏美人コンテスト」などを行うとか------そんな、様々なアイデアを書いて提出しました。
更に、近年は、街の中の小売店が、後継者不足や大型店に押される影響から、軒並み店を閉め、お年寄りたちの買い物の足が奪われているため、家に閉じこもりがちになり、他人との関わり合いが少なくなることで認知症になる確率も高いと言われていることなどからも、自宅前から乗れるデマンド式の「買い物・通院用バス」を、整備して欲しいとの要望も出したのですが、結局、ただのご意見拝聴のみで、その後も、ほとんど何の対策もとられませんでした。
つまりは、その自治体に本気になって地域活性化策に取り組もうという熱意がなければ、どんなアイデアも単なる机上の空論で終わってしまいます。要するに、未だにそれほどの危機感が行政側にないということなのでしょう。しかし、街の沈滞ムードは、年を追ってひどくなるばかりです。
対策を考えるのは、既に遅すぎるくらいなのだということに早く気付かなくては、観光地に未来はありません。
「この街って、何処に商店街があるの?」
外を歩いていたわたしを呼び止めて、そう訊ねる観光客に、いつも返す言葉が見付からないのです。
