避難所の感染症・・・・・994
2011年04月03日
~ 今 日 の 雑 感 ~
避難所の感染症
NHKスペシャルで放送していたが、今、各避難所では、胃腸炎や肺炎などの感染症がまん延し始めているようだ。
震災直後は、骨折や打撲などの外傷患者であふれかえった大学病院が、その後は患者数も減り、元の診療体制に戻れるものと安堵していた医師たちだったが、ここへ来て再び患者数が増加に転じ、戸惑っている。
避難所の不衛生な環境が、ノロウィルスなどを発生させ、嘔吐や下痢、発熱を訴えて受診する高齢者が急増しているそうなのである。
多くの避難所には、未だに水がないため、避難所内の掃除には、近くのため池などに溜まった海水混じりの泥水を使用しているところもある。
そうした劣悪な環境を医師たちが調査してみると、水洗トイレにも水が流れないので、新聞紙などの紙を便器の中に敷いて使用し、用便をその紙ごと捨てるという方法をとっていた。
それも素手で扱わねばならず、その手を洗う水がない。
アルコール消毒液も底を尽き、結果的に、汚染された手のままで食事をすることになるわけで、避難所の人たちにさまざまな感染症が広がっているのだという。
そうして病気になった人たちは、医薬品の乏しい地域の医療では手当てし切れず、県をまたいで他県の大学病院に搬送されて来るのだが、そこも既に満杯状態が続いていて、本来の手術予定患者などへの対応まで手が回らないのだそうだ。
早期のすい臓がんで、三月下旬に手術予定だった男性患者も、未だにそれが出来ずにいた。
担当医師は、「早期のがんなので、そういう患者さんこそ早く手術してやりたいのだが、この状態ではどうしようもない」と、困惑していた。
その男性患者も、「こうなっては、どんなに泣き叫んでも出来ないものは出来ないのだから・・・」と、悔しそうに話す。
また、肺炎で入院した高齢女性患者は、抗生物質の投与で回復したものの、帰る場所は、やはり避難所であるため、戻ったところで再び病気を悪化させる可能性もある。
「本当は、ここにいて頂きたいのですが、(他の患者さんがつかえているので)それも出来ない・・・」と、若い担当医は悔しがっていた。
避難所のトイレを視察していた医師は、こうした衛生問題を特に懸念する。
「今は、まだ、寒いのでこの程度だが、これから暖かくなってくるので、この状況を早く改善しないと大変なことになる。アメリカ軍の空母に頼んで被災者たちを一時受け入れてもらい、清潔に暮らせる環境を作ることも必要ではないかと思う」
しかし、高齢者の中には、今の避難所や自宅を離れたくないという人も多い。
とにかく、今後の被災地には、大量の清潔な水の供給が急務だと、番組は伝えていた。