青春リアル
2011年11月20日
青春リアル

NHK教育テレビ(今はEテレっていうのかな?)で放送している『青春リアル』が、案外面白いので時々観てしまう。
観てしまう---と、いうのは、観たいと思って観るのではなく、チャンネルを替えたらたまたまやっていたから観てしまった・・・と、いうこと。
この『青春リアル』のユニークなのは、青春というぐらいだから、悩み多きニキビ顔の十代の若者たちがメールを通じてトークするという番組なのかと思いきや、参加者が二十代や三十代のとても青春とは呼べないくらいの年齢の人たちだというところだ。
中には、既婚者もいる。
つまり、今や若者という単位は、精神的な問題でしかなく、実年齢的にはあまり関係がないという時代なのかもしれない。
昨日の放送では、流行りの『腐女子(ふじょし)』なるものについて参加者が投稿メールで語り合っていた。
わたしも、この『腐女子』という言葉は最近聞いたのだが、どうやら、漫画や小説などに書かれている若い男性同士の恋愛物を読むのが好きな女性のことらしい。
自分は『腐女子』であると告白する女性参加者は、現在25歳。

彼女は、美しい男性同士の恋愛にのみ関心があり、男女間の恋愛や自分が対象となる恋愛には、関心がないどころか嫌悪感さえ覚えると、訴えていた。
人ごととしての架空の色恋は、客観的に楽しめるが、美しくもない普通の男女が現実に恋愛をするなどということは許せないというのである。
おそらく、その美しくない男女の恋愛の果てに生まれた自分自身をも、許せない存在のように感じているのではないかと思うほど、彼女の悩みは深刻だった。
もちろん、彼女は、この25年間一度も男性を好きになったことがない。
自分は、このままでは一生『腐女子』を捨てられず、しかも、そのことを周囲の人に告白することも出来ず生きて行くことになるのだろうか?でも、一人は悲しい。誰かに抱きしめてもらいたくなる時もある----と、携帯片手に呟く。
ところが、そんな彼女の悩みを一気に吹き飛ばすメールが、参加者の一人の女性から入った。
そのメールを送ってきた女性も実は『腐女子』で、しかも、既婚者だという。
「夫も自分が『腐女子』であることを知っているし、そんな漫画を一緒に見ている」ということだった。
『腐女子』であっても、彼氏は出来るし結婚も出来る----と、知った彼女は、目からうろこが落ちた思いで、途端におしゃれや化粧もするようになり、初めて女性としての自分をアピールする決心がついたようであった。
このメール投稿参加者の中には、アドバイザーとして三十代の大学の准教授も加わってはいたが、彼の知識や感性では、この25歳の女性の悩みの根本を追究することは難しかったようだ。
それにしても、現代人心理の特徴なのだろうか?恋愛を他人事としてしか受け止められないという人が実に多い。
まあ、確かに、ひと山100円クラスの器量の自分が、恋をするなんて滑稽きわまる---と、感じる気持ちは、当然といえば当然だろう。
その彼女も、「男性を愛するという感情が判らない」と、答えていたが、しかしながら、「気が付いたらその人を好きになっていた----と、いう感情が恋というものなのではないか。恋愛に理屈はないのだ」と、番組は教えているような気がした。
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