あるエッセイを読んで・・・
2011年11月30日
あるエッセイを読んで・・・

これまで特に気にすることもなかったのだが、近頃気付いたことがある。
まあ、ど~~でもいいと言えば、ど~~でもいいことなんだけれど・・・。
新聞や雑誌に掲載されているエッセイを読むと、どうして、こういう寄稿文の筆者には、これほど贅沢な生活をしている人が多いのか----と、いうことだ。
この間は、バリ島で夫婦ともども体調を崩したというエッセイを読んだのだが、そこには、バリ島の医師や看護師の献身的な治療について感激したとの筆者の心情が記されていた。
しかし、そのエッセイを読むにつけ、初っ端から驚いたのが、まずエッセイの舞台になっているのが薄給の一般庶民にとっては夢のリゾート地のバリ島だということである。
その旅でのエピソードが、特別気取ることもなく淡々と始まっているのだ。
まるで、バリ島などこれまでも何度も訪れた隣の県へ行くような感覚で、「別に驚くことでもないでしょう」とばかりに、その文章は書かれている。
そこで足の感染症を患い、駆け込んだ現地の病院での手厚い治療ぶりに感心したということに加え、帰国後に受診した皮膚科の医師までが東南アジアのリゾート通であったという記述にも、唖然であったし、そのあまりの世間一般の感覚とのズレに戸惑いすら覚えた。
しかし、次を読み進めると、その旅行の帰りの機内で腹痛を訴えた妻を、帰宅後に近所の内科医院へ連れて行ったところ、そこの医師が、
「現地で病気になるのは自己責任」
と、言ったとの一行に、ようやくホッとした気分になれた。
筆者の妻は、診察後、「バリのお医者さんとはずいぶんな違いよね」と、愚痴ったようだが、その近所の内科医の言葉は一般的な日本人の感覚そのものであろうと思う。
おそらくその内科医にも、外国旅行へ行き遊んできた人間が胃腸炎になったところで同情の余地なし、身のせいだという気持ちがあったに相違ない。
もしも、この妻が家計を節約するあまり、つい賞味期限切れの食材を食べて腹痛になったというのなら、医師もこうした厳しいもの言いはしなかったはずである。
そして、こうも思った。
バリ島の観光協会としては、日本人観光客は大のお得意先であるから、現地の医療施設に対しても外国人観光客には丁寧に接せよとの依頼をしているのかもしれない。
帰国後にかかった内科医のきつい発言は、そんな筆者夫婦の浮かれた生活に対する戒めだったに違いない----と。
続きを読む