女の嫉妬は怖い・・・・・104

~ 今 日 の 雑 感 ~

 
女の嫉妬は怖い


    わたしが、まだ下手くそな小説をバリバリ書いていた頃のこと、某民放ラジオの担当者から、朝のラジオ番組のレポーターをやってみないかという、お話を頂いた。

    もともと取材には得手があったものだから、やってみてもいいかなと、いう気持ちで、本社で担当者の男性ディレクターにお会いした。

    話を聞くと、これまで、その番組を担当していた女性レポーターが、家庭の事情で降板することになったのだという。その後釜に、わたしをということであった。

    わたしも、やる気は満々だったが、それでも何せ初めてのことだから、勝手が判らないと困るので、その女性レポーターが辞めるまで、彼女について勉強したいと申し出たところ、では、詳細が決まり次第、連絡するという話で、わたしは、そのディレクターと別れた。

    すると、後日、そのディレクターから電話があり、すぐに本社へ来て欲しいというので出かけて行くと、彼は、何故か困惑顔で、すかさず、申し訳ありませんでしたと、頭を下げた。

    何のことかと思っていると、いったん辞めると言っていた女性レポーターが、その辞表を撤回して続投すると言い出したのだそうである。それも、自分の代わりに、わたしが決まったと聞いた途端に、気が変わったようだというのだ。

    そのディレクターが言うには、彼女は、どうやら、自分のあとは、局のアナウンサーが引き受けるのだろうと思っていようなのだが、全く外部からのレポーターが入ると聞いた途端、話が違うと、憤慨したらしいのである。つまり、彼女は、局アナが担当となっているのなら、再び自分が復帰するチャンスもあると踏んでいたようなのであるが、わたしが入ってしまうと、再復帰の目論見も崩れてしまうと、危機感を抱いたのではないかと、ディレクターは、推測していた。

    しかも、自分よりも若い人間にとって代わられるということは、彼女のプライドが許さなかったらしいのだ。何とも、身勝手な話である。しかし、何度も詫びを口にするディレクターに、わたしは、それ以上反論する気にもならなかった。

    それに、わたし自身、考えてみればラジオに適した声でもなさそうであるから、別に、構いませんと答えると、そのディレクターは、代わりと言ってはなんですが、ぜひ、ラジオドラマを書いてもらえないでしょうか?と、依頼して来た。

    ラジオドラマの脚本なんて、一度も書いたことがありませんから-----と、断ると、彼は、いきなり、ラジオドラマ・シナリオ集なる分厚い本を二冊も持ち出して来て、これを読んで書き方を勉強して書いてもらいたいと、言う。ドラマは三十分もので、四百字詰め原稿用で約十五枚。色々な「音」を、盛り込んだドラマにしたいので、その点を考えて書いてほしいとのことであった。

    言われたとおりに、何とか書いて、持ち込むと、そんな下手くそな素人作りの原稿が、ちゃんと、アナウンサーたちが声優となった素晴らしい放送劇に仕上がってしまった。

    音楽も、注文の「音」も、本当にリアルで、感激する出来栄えだった。放送後も、聴取者の人たちから感想が寄せられ、ラジオの影響力を、改めて実感した次第である。

    その後も、ラジオの脚本は書かせて頂いたが、ある時、小説を一本持ち込んで、これをシナリオにしてみたいんですがと、申し出たのだが、それが殺人事件の推理物だったために、スポンサーとの兼ね合いが悪いということで、ボツられてしまった。タイトルは、「大沼池伝説殺人事件」-----何とも、シュールな題名である。

    この小説は、いつかブログ上ででも、発表してみたいとも思う。もしかしたら、ドン引きされるかもしれないが・・・・。face02

    それにしても、女の嫉妬は怖い。たとえ、自分の家庭を犠牲にしても、負けたくないと思う意地には、舌を巻くばかりである。face09icon10

    

    
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