方言、あれこれ・・・・・126
2009年08月11日
~ 今 日 の 雑 感 ~
方言、あれこれ
「おらちのぼこ、風邪ひいたもんで、よんべ、わにてわにて、へー、もうらしくて。今朝がた、医者えったわ」
「ま~んず、われんちのぼここさ、ちいせからな。あんべ悪くなれば、心配ださ。で、へえ、いいんかい?」
「えま、うちけって来て、ねてらさ。起きたら、桃でも食わしてやらずそもってさ。えま、畑から採って来たところだ」
「ふんとかい。今年の桃は、出来いいかい?」
「でけことはでけな。けど、味は大味みてださな。------で、さっきから見てんだけど、おめさんの服、その着方でいいんかい?」
「あれ、やだ、しょうし!後ろ前に来てるわ。あんまりのくてんで、あたまぼーっとしちまったわ」
昨日、わたしの部屋の窓の下で、こんな言葉のやり取りをしている年配の女性たちの声が聞こえました。
長野県の言葉のイントネーションは、標準語とほとんど変わりませんが、方言の多さは、東北地方などに引けを取らないと思います。
また、県内の教育が標準語主体で行われていますから、どんな年配の人でも、公の場所に出れば、ちゃんとした言葉を話すことができます。ですから、かつて、テレビタレントが、
「信州というから、もっと田舎だと思って、素朴な言葉を期待して来たのに、みんな普通に話をするので、ちょっと残念だな」
と、インタビューで語っていました。しかし、信州人同士で気楽に話をする時は、みんな、こういう方言を平気で使うということが、そのタレントには判らなかったようです。
わたしが上記したのは、北信地方の方言ですが、東信、中信、南信ともなると、また、まったく別の方言があるのですから、面白いです。
以前、わたしが華道教室へ通っていた時の先生は、諏訪の出身で、よく、こういう言い方をしました。
「昨日、家の中へカエルが入って来て、もう、おどけちゃってね-----」
わたしたち生徒は、「おどける」という言葉を、「面白おかしい」という風に認識していましたから、
「それは、面白かったですね」
と、返事をしたところ、先生は、不思議そうな顔になり、
「カエルなんか、ちっとも、面白くなんかないわよ。ぞっとしたわ」
と、言います。どうやら、先生の出身地域の方では、「おどける」という言葉は、「びっくりした」「驚いた」という意味で使うのだということが、何となく想像出来ました。
では、ここで、皆さんに、方言をいくつか読んで頂きます。意味が判りますか?
「びしょってねェ」 「ばちゃいい」 「あいさ」 「べちゃる」 「けっこくる」 「りこうもん」 「よう
じ」 「えの」 「あおらあおら」 「へっぺへっぺ」 「ひっちゃばく」 「らっちもねェ」 「どきょ」
答え
「情けない・みじめだ」 「ざまをみろ」 「仲間外れ」 「捨てる」 「蹴る」 「バカ」 「歯ブラシ」 「犬」 「風に吹かれるようにふらふら、よろよろする」 「はあ、はあ、息が切れるさま」 「破く」 「くだらない」 「芋虫・毛虫」
因みに、「ぼこ」は、「赤ん坊」 「わにる」は、「人見知りして泣く・イライラして泣く」 「もうらしい」は、「可哀そう」
「あんべ」は、「具合」 「しょうし」は、「恥ずかしい」 「のくて・のくとい」は、「あったかい」 です。

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夜の声・・・・・125
2009年08月11日
~ 今 日 の 雑 感 ~
夜 の 声
夜の話し声は、とにかく良く響く。
わたしの寝室の窓の下の道路を挟んだ向かい側には、ちょっとしたベンチがあるため、夜中でも、そこに人影が見える時がある。
そのベンチは、小さな街灯で照らされているので、そこに腰をかけていると、その人たちの姿は一目瞭然なのであるが、たまに、街灯が消えている時があり、そうなると、そのベンチは人目を忍ぶには格好のコミュニケーションスペースとなってしまうのである。
そこに座って話をしている人物たちの姿や顔は判らない。しかし、当人たちは気が付かないかもしれないが、彼らの話声は、そっくりそのまま上へと上がり、ちょうど、わたしの部屋の窓のすぐ外で話をしているかのように、はっきりと聞こえてしまうのである。
ある時は、男女二人の痴話喧嘩が、まるで、ラジオの実況中継でも聞くように、耳に入って来たことがあった。
既に、時間は真夜中の二時を回っている。
男は、女に、別の男との関係を断てと迫り、女は、自分はその人の世話で働き口を見付けたのだから、簡単には手は切れないと言う。男は、女に、今から携帯でそんな男に紹介された職場はやめると、男に伝えろと、言うが、女は、嫌だという。
そんな押し問答の末、男は、女の携帯を奪うと、勝手に何処かへ電話をかけてしまった。やがて、携帯に相手が出ると、今度は女にそれを渡し、相手と話をさせる。
その会話は、さすがに声がくぐもって、よく聞き取れなかったが、かなり長い時間会話は続き、その間、わたしは、まったく眠ることが出来なかった。
すると、わたしのように、話し声で眠れなかったのか、近所の男性が家から出て来たらしく、
「いつまで、しゃべっているんだ!いい加減にしないと、警察へ通報するぞ!」
と、怒鳴るのが聞こえ、二人の声はその後、ぱったりとやんだ。
また、つい最近は、やはり真夜中に、そのベンチへ腰掛けて、中年の女性二人が自分の家に介護老人がいるという話で盛り上がり始め、大笑いをしたり、手をたたいたり、果ては、歌まで歌い出す始末で、どうにも我慢がならなくなってしまった。
この前、男女を怒鳴り付けた近所の人が、また出て来てくれればいいと思っていたが、今度は、一向にその気配がない。留守なのかもしれないと、がっかりしながらも、それでもしばらくは辛抱していたが、午前三時を過ぎたあたりで、もう限界になった。
わたしは、自分の寝室の窓を開け、彼女たちに向かって叫んだ。
「うるさくて眠れないので、何処か別の場所で、しゃべって下さい!!」
すると、彼女たちは、渋々腰を上げて、そのベンチから去って行った。
夜の声は、昼間に比べてかなり大きく聞こえる。どんなにひそひそ声で話しても、実にやかましく聞こえるものなのである。自分たちは、他に誰もいないと安心してしゃべっているのかもしれないが、人の耳は、何処にあるか判らないのだ。
もしも、犯罪に関係する悪だくみなどを相談するのなら、外のベンチは避けた方がいい。近所の人たちは、みんなその声を聞いているのだから・・・・。
