「戦前女」は、褒め言葉?・・・・・886

~ 今 日 の 雑 感 ~



「戦前女」は、褒め言葉?



    
    ネットの悩み相談コーナーを読んでいたら、二十代の女性からの質問で、

    「友人の結婚披露宴に振袖を着て行ったら、会場に来ていた招待客の30代の男性たちから、『昭和の女って感じ・・』『それも、戦前・・・?』と言われ、凹んでいます。これって、褒め言葉なんでしょうか?それとも、けなされているのでしょうか?」

    と、いうのがあった。

    彼女は、着物も渋めの色の物を着ていたらしく、普段も年上に見られることが多いとか・・・。

    身長は162センチぐらいだが、体重があり、少し太めなのだと書かれてあった。

    これに対してのベストアンサーは、「あまり気にしないこと。褒め言葉だと思っていればいい。本当にけなすつもりなら陰で言うはず。年上に見られてもまだ二十代ならそんなに気に病む必要はない」というものだったが、他の意見には、「戦前・・・?」というのは、やはり失礼だというものもあった。

    最近は、自分のことは棚にあげ、人を客観的に評価することがやたらに多くなって来ているが、褒め言葉の使い方も判らないくせに、安易に口を開くなと言いたい場合がよくある。

    この女性への言葉も、「着物が似合うね。落ち着きがあって昭和の女性の雰囲気があるよ。大人っぽくて素敵だね」と。言えば、何のことはないのに、戦前の女がどんなものかも判らない若造が、「戦前・・・?」なんて知ったかぶった言い方をするから、いらぬ不快感を与える破目になってしまったのである。

    本当に、口は災いの元だ。適切な褒め言葉が判らないのなら、しゃべるなと言いたい。

    まあ、あえてバカにするつもりで言った言葉なら、それは、論外であるが、おそらくはこの男性たちは、「古風な感じが良いね」と、言いたかったのだと察する。

    実は、わたしにも似たようなエピソードがある。

    わたしは大学生の頃、教育実習で母校へ行った時、古典の授業を担当した。

    すると、生徒から「先生は、平安美人ですね」と、言われたことがあった。平安美人の典型は、色白、しもぶくれの麻呂眉、目細、鉤鼻、おちょぼ口だから、現代の感覚からすれば美人の定義には程遠いと思われるが、わたしは、彼女の言葉を褒め言葉と受け取った。

    いずれにしても、どんな時代でも、美人は美人であるし、紫式部や清少納言、ましてや小野小町と同等に思われたのなら、こんなに嬉しいことはないからだ。

    その生徒も平安時代が好きな女子だったので、たぶん、その頃の女性に憧れを懐いていたのだろう。

    だから、その悩み多き二十代の女性にあえて言いたい。

    戦前の女----と、いう表現に引っかかっているのだと思うが、戦前の女性は、今の女性たちに比べて決して劣るものではない。むしろ、今の若い女性たちよりも遥かに品が良く、清楚で、心身ともに美しい人が多かったのだ。

    だからこそ、あのような貧しく苦しい時代を逞しく生き延びることが出来たのだと思う。

    決して、自身の容姿を卑下する必要などないのである。

    

    

    

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