世界記録は、脳が作る・・・・・46

~ 今 日 の 雑 感 ~


世界記録は、脳が作る



    「世界記録は、脳が作る」 -----そんなことを聞いても、何のことやら俄には判りませんよね。でも、昨年の北京オリンピックで、メダルを取った日本水泳陣は、皆、試合に臨む前に、メンタル面を鍛えるため、脳外科の権威の医師から、脳科学の講義を聞き、「脳トレーニング」なる訓練を受けていたというのです。

    これは、NHKのクローズアップ現代という番組で放送していたことなのですが、今や、スポーツ界のトップアスリートを始め、一般のビジネスマンに至るまで、この「脳トレーニング」は、目標を達成するためには欠かせない訓練の一つとして利用されつつあり、世界では、既に、このようなメンタルトレーニングを、スポーツ界の一般トレーニングに組み込みことが主流となりつつあるのだと、いうことでした。

    脳科学の分野では、昔からの心理学的経験則に基づき、ある一定の成果を生みだそうとする時は、それ以上の目標を定める必要があるということは言われていたのだそうですが、今は、それを科学的に証明できるレベルまで、技術が発達しているのだそうで、脳の司令塔ともいう「前頭葉」の働きをつぶさに調べることにより、その事実が解明されたのだといいます。

    前頭葉には、報酬神経群なる場所があり、そこでは、「意欲」とか「持続力」を、コントロールする働きをして、その信号が運動神経群へと伝達されることにより、人間は、より高い能力を発揮することが出来るのだということなのです。

    それは、前頭葉の血流量を見れば一目瞭然で、報酬神経群が活発に働いている状態の脳は、赤く染まることが、測定器の表示でも、判るのだそうです。しかし、報酬神経群の働きが落ちると、それに比例して運動機能にも低下がみられるようになり、それは、筋肉の多い少ないや、技術の高低にかかわらず、起こる現象なので、殊に、一秒単位で争う競泳などの種目には、このメンタルトレーニングは、大いに効果的なのだといいます。

    たとえば、具体的に言いますと、「ゴールは、まだ先だ」と、脳が思いこむことで、報酬神経群は活発に活動をするのですが、一瞬でも、「ゴールは、もうすぐだ」と、選手が感じた途端、その活動は落ちるとともに集中力も途切れ、運動神経群への指令が低下してしまうのだとか。必然的に、実際の運動量も落ちて、記録は伸びないということになるのだそうです。

    そこで、選手たちは、自らの脳を騙すべく、練習中も常に、「ゴールはまだ先だ」「ゴールは遠いぞ」と、自分に言い聞かせながら泳ぎ続けるのだということで、彼らは、極端な話、ゴールした後も、「本当にこれが終着点なのか、まだ、あと五十メートルぐらいあったのではないか?」というぐらいの気持ちでいるために、まずは、自分が本当にゴールしているのかを電光掲示板で確認した後で、記録表示を見るため、勝ったという喜びのパフォーマンスが、いつも一拍遅れるのだそうです。

    このことを、今度はビジネスマンなどに当てはめると、報酬神経群を騙すために、決して否定的なことは考えない、いつも、自分は出来ると思い続けるように心がける。-----などの訓練の仕方があるそうで、商談を取り付ける時などに、とても役立っているといいます。

    よく、野球のバッターが、「ボールが止まって見えた」とか、「周りの雑音が、一切耳に入らなかった」などということがありますが、それも、実は、この「脳トレーニング」を、そのバッターが無意識のうちに行っていたからなのだと、専門家は言います。

    肉体を鍛え上げることには、自ずと限度があります。しかし、脳を鍛えることには、今のところ限界は見えていません。これからのスポーツ界は、それも特にトップアスリートに関しては、肉体や技術の向上を超越して、脳が記録を左右する時代に突入したといっても過言ではないでしょう。

    でも、われわれ一般人は、そのレベルに到達するには、到底無理がある訳ですから、まだまだメンタル面よりも、フィジカル面を鍛えなくてはならないのでしょうね。それでも、出来るだけ日常を快適にすごすために、極力、否定的思考は避けるということを実践するだけでも、少なからず効果は期待できるのかもしれません。  続きを読む