「すごい!」という言葉・・・・・53
2009年05月31日
~ 今 日 の 雑 感 ~
「すごい!」という言葉
「すごい!」-----この言葉を、あなたは、一日に何回ぐらい使いますか?無意識のうちとはいえ、かなりの頻度、使っているのではないでしょうか。考えてみれば、わたし自身もかなりの回数使っていると思います。

これが、一般の会社員のセリフだと、さしずめこんな感じでしょうか?
まず、朝起きて-----「すごい、天気いいね」「今日の朝ごはん、すごいおいしいね」「すごい、もう遅刻しそうだ!」
会社へ行って-----「昨日のジャイアンツの試合、すごかったよねェ」「今日のプレゼン、スゲ―緊張する!」
退社時間-----「この前、すごくおいしいイタリアンの店見付けたんだけど、これから一緒に行かない?」「あなた、すごくしつこいわね!」「やめとけよ。お前、そんなこと上さんに知れたら、スンゲ―、ぶっ飛ばされるぞ!」
こうして見ると、この「すごい!」を使うだけで、日々の会話のほとんどが網羅出来てしまうようですね。
ところで、あるテレビドラマを制作する時、演出家の方が、子役の小学生たちに、「きみたちのお父さんが、新しい自動車を買った。今日、家にそれが届くシーンなんだけど、きみたちは、好きなようにその車を褒めてくれ。決まったセリフはないから、自由にしゃべってくれていいからね」と、言ったところ、いざ本番になって、その子役たちの口から出た言葉は、
「すごいね!」「スゲ―、かっこいい!」「すごい、すごい!」「お父さん、すごい大好き!」-----だったそうで、演出家のの方は、愕然として、「やっぱり、セリフは必要だなァ」と、思い直したそうです。
一月ほど前でしたが、近所の和菓子屋さん(うちの方では、お饅頭屋さんと言います)で、面白い会話を聞きました。お店のご主人と、若い男性二人のお客さんが話をしていたのですが、男性客の一人が、出来上がったばかりのお饅頭を見て、
「これ、何ですか?」
「温泉まんじゅうですけれど------」
ご主人が答えますと、その男性客は、いきなり、「温泉まんじゅうだって、スゲ―なァ」と、言ったのです。途端に、ご主人が、ブチッと、キレたような顔つきになり、
「お客さん、温泉まんじゅうの何処がすごいの?温泉まんじゅうに足が生えて歩き出すとでもいう訳?」
と、言います。男性客は、最初何を言われているのか判らないようでしたが、ご主人が、続けて、こう言いました。
「すごい----なんて言葉は、土石流が飽きた時にでも使うもんだよ。あんたら、菓子屋の小僧上がりの、おれなんかよりも学があるんだから、もっと頭を使ったほめ方が出来るだろ?とても、おいしそうですね-----とか、いい香りですね-----とかさ」
男性客たちは、ようやくご主人の言っている意味を理解したらしく、「すみません・・・・」と、小さく言って、その温泉まんじゅうを買って行きました。
これを聞いていたわたしは、なるほどなァと、感心しました。確かに、「すごい」は、便利な言葉ではあります。しかし、これをあまり多用すると、何がすごいのか、判らなくなってしまいますよね。おいしいということなのか、綺麗ということなのか、嬉しいのか、怖いのか、それとも、ほとんど接続語的に使うもので、意味などないのか-----。
子供を褒める時も、とかく「すごいねェ。お利口だねェ」などと言いがちですが、ここは意図的に「すごい」を、しばし封印して、もっと具体的に言葉を使ってみたらどうかと思うのです。
日本語には、素敵な言葉がたくさんあります。つい、口から「すごい」が出そうになったら、「他に何か言い方はないかな?」と、一瞬でも考えてみる------そんな癖をつけることも必要なのではないかと思いました。 続きを読む