広告宣伝の嘘・・・・・51
2009年05月25日
~ 今 日 の 雑 感 ~
広告宣伝の嘘
「こんなヤバすぎる話、読んだことがありません」
「一気読みって、こういうことを言うんですね。時間がたつのを忘れて、読み切ってしまいました」
「ストーリーの巧みさに驚きました。ページをめくるのが煩わしいくらいでした」
書店の台に新刊本が並ぶ時、新聞や広告チラシなどには、よくこの手の書籍紹介のための読者評などが掲載されますが、わたしは、こうした文章をほとんど信じません。
これらの言葉を信じてその本を買ってみても、大半が裏切られるのが関の山だからです。正直、こういう言葉に乗せられて、購入した本で、のめり込むほど面白かったなどという物に、とんとお目にかかったことがないからです。
かつて、ミリオンセラーと呼ばれた小説や、エッセイ本など買ってみたことがありましたが、いったい、こんな物の何処が面白いのだろうか?と、疑問に思うことばかりで、広告の宣伝文句に騙されたと、がっかりすることばかりでした。
それにしても、こうした宣伝文句は、本当に読者の意見なのでしょうか?如何にも、まことしやかに、感想文の終わりにはそれをしゃべった人の性別や年齢、職業などが記載されていますが、これは、事実なのでしょうか?もしも、事実ならば、その人たちの感性は、かなりお粗末か、貧困としか言えません。
最近は、日本語も満足に書けず、言葉の接続すら理解していないような人の小説が賞を取ったりしていますが、これも、現代の活字離れを何とか食い止めるための、苦肉の話題作りなのだとは思います。しかし、実際にその話題性に引っ掛かって、面白くもない駄作を千円以上も支払って買わされる方は、たまったものではありません。この不況のご時世、たとえ千円だって馬鹿にならないのですから。

わたし個人も、これまでかなり多くの書籍に触れて来たと思うのですが、その中で、本当に読んでよかったと思うような本は、たった数冊にすぎず、それも、決して流行の本の中にあるものではありませんでした。読者にとっての良書とは、たまたま手に取った物がすごくためになったという、正に偶然の出会いによるものであることの方が多いのです。
そうはいっても、パソコンや携帯電話等の普及に伴う、現代人の活字離れ、本離れは、やはり深刻な問題と言わざるを得ません。本を読むのが苦手だという人は、むしろ、そうした広告の宣伝文句に踊らされることを覚悟で、購入してみるのも、あながち間違いではないかもしれません。
それでも、ある出版社の編集者が言っていました。「本を売るためには、正直なところ内容なんか二の次でいいんだよ。要は、作者が重要なんだ。たとえば、すっごく若いとか、大変な美男、美女だとか、信じられないような波乱万丈の体験者であるとか、政治家や医師、弁護士等の社会的にステータスがある人物とか、そういう付加価値の方が、むしろ大切なんだよ。文章なんか、たとえ下手でも、ある程度編集者の方で加筆すれば、読めるようにはなるからね。新人賞なんか取る若手を見ると、父親が作家だったり、母親が有名な企業家だったり、みんな、ある程度の付加価値を持っているんだよ。売れる本というのは、そんなものさ。だから、ミステリー大賞を取った作品について、読者に正直なところを聞いてみれば、『言っちゃァ悪いけど、何書いてあるんだか判んない』----ってなこともあるんだよ」
出版物の裏話なんて、そんなものなんですよね。
皆さんも、安易な宣伝文句などには騙されず、しっかりと肥えた目で、本当に身になる良書を選んでください。 続きを読む