高齢者が頑固なわけ・・・・・955

~ 今 日 の 雑 感 ~



高齢者が頑固なわけ




    年をとるにつれて、人間は頑固になると言われますよね。

    周りの意見を受け入れなくなり、自分の意見ばかりを押し通そうとする男性も多いものです。

    しかし、そういう人も、若い時から人の意見を聞かない頑固者だったわけではないのです。

    どうして、このようなことが起きるのでしょうか?

    人間は、押し並べて、最初に聞いたり見たりしたものを信じるという性質があるそうです。

    つまり、若い時に経験したことが正しいことだと思い込む傾向があるのです。

    ある男性落語家は、バブルの頃に若い女性たちに人気のあった行楽地を、未だに女性たちに人気のある場所だと信じ込んでいて、若いタレントたちの失笑を買っていました。

    また、ある高齢男性は、若い頃に見た知り合い男性の悪い印象があまりに強烈で、その男性がその後立派な業績を残す人物に成長しても、「本質は、ろくでもない奴だ」との評価を変えることがありませんでした。

    人間は、若い時分に受けた印象を、ほぼ生涯にわたって引きずる性質があるので、何十年経っても、結局はその時の感覚を忘れることがないのです。

    世代間のギャップも、要は、そういうところから生まれるわけで、たとえば、クジラを食べることが当たり前の世代に、現代の若者が「クジラを捕るのは感心しない」と、言ったところで、受け入れられないのも当然といえば当然なのかもしれません。

    人間の基礎的概念というものは、二十代の頃までに出来上がるそうです。

    その頃、良い印象を得た物は、生涯にわたり、良い物と認識し続けるのです。

    逆に、若い頃に、あまり好ましい印象を持てなかった事柄については、その事柄の印象がのちに誤った認識のもとに出来たものだったと判っても、やはり、心底好ましいとは思えないものなのです。

    高齢になればなるほど、自分の感覚が最も正しいと確信する人が多いのは、そのためのようですね。



    

   

    

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案の定・・・・・954

~ 今 日 の 雑 感 ~


案の定・・・




    案の定・・・というか、やはり、従姉は叔母の足代わりに使われ始めた。

    叔母は、別の家へ嫁いだ身なのだから、実際は、実家の娘である従姉を頼る間柄ではない。

    本来ならば、嫁ぎ先の家の人たちに世話になるべき人間なのだ。

    それなのに、嫁に行って既に半世紀近くにもなろうというのに、結局、ず~~~っと、実家から離れられなかったのだ。

    何かといえば、実家を頼り、亡くなった叔父も、いい加減にしろと、叱るほどだった。

    しかし、子供のいない叔母に、叔父の思いはついに届かなかったようである。

    従姉を自分の実の娘のように思い、行く先々で従姉のことを自分の娘だと紹介していたようで、一人になった叔母は、従姉の両親のことなど関係なく、連日、従姉に車に乗せてもらい、買い物や病院、役所での手続きをしているらしい。

    とはいえ、これでは両親が面白くない。

    今までのように、娘を自分たちの専属として扱えなくなってしまった訳だ。

    何とか、叔母の方へやりたくないと、娘を説得するが、叔母は、そんな従姉の両親に知られないように彼女の携帯電話に連絡をよこし、何か理由を見付けて家を出てこいと、呼びだすのである。

    両親は両親で、そうはいっても、あまりきつく娘を押し留めて、叔母が彼らとの同居を持ち出しでもしたら、その方が困るので、絶対に手伝いに行くなとも言えない。

    実は、周囲の者たちは、いつかはこういう状況になるだろうことは、従姉がまだ幼い頃から薄々懸念してはいた。

    たぶん、彼女は、将来三人の親の面倒を見るようになるだろうと、予言していた親類もいたくらいである。

    そして、おそらくは従姉は生まれた時から、結婚させないという家族の思いがあったようにも感じるのだ。

    何のために?

  もちろん、自分たちの老後の面倒をみさせるためにである。

    そのためには、独身であってもらう必要があったのだ。だから、彼女に好きな人が出来ても、尽く反対し縁談をつぶして来た。

    いや、それよりも前から、親元から一時でも放してはおけないと、大学も家から通えるところを選ばせる念の入れようだった。

    そして、従姉自身も、それで良いと思っていたようである。

    要するに、親族すべてが共依存の関係にあると言っても過言ではない。

    両親たちは、従姉が大人の女性になることを最も嫌悪し、おしゃれや化粧さえさせなかった。

    わたしには、何とも理解しがたい家族であるが、それでも本人たちはそれが一番居心地いいのだと思う。

    これから、従姉は、三人の親の間を上手に行き来しながら世話をして行くことになるのだろう。

    両親に言えない叔母の本音、叔母に言えない両親の本音を、両天秤にかけながら----。

    
    

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