人は見栄を張る生き物

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    かつて、近所の高齢女性で、やたらに自分が食べた物の自慢をしたがる人がいた。

    「この間の旅行先では、伊勢えび料理を食べた」「先日、高級料亭へ行って、値段の高いカニ料理をお腹いっぱい食べた」「やっぱり、マスクメロンは〇〇産に限る」などなど・・・。

    この自慢話を聞かされる近所の主婦たちは、彼女のことを「意地汚い、貧乏根性。お里が知れる」と、蔑んでいた。

    人間とは、自分は他の人よりも少しはマシなのだと思いたい生き物であるから、ついつい見栄を張って顰蹙を買ってしまうのである。

    最近は、年賀状にも見栄を張り、家族の幸せそうな写真を付けて送るのが主流になりつつあるが、これもある意味考えもので、離婚をしたとか、最愛の人を亡くしたなどという人がこんな年賀状を受け取れば、

    「嫌みのつもりか!」

    と、ケンカのタネを作ってしまうことにもなり兼ねないのである。

    とあるビール会社も、この人の見栄が元で大失敗をしたことがあるという。

    夏に向けての新商品開発を狙っていたその会社は、スーパーの店頭を借りて二種類のビールの試飲アンケート調査を実施したのだという。

    一つは、値段の高いアルコール度数低めの高級志向ビール。もう一つは、一般向けの安いビールだった。

    アンケートに協力した人たちは、ほとんどが値段の高い高級志向ビールの方がおいしいと答え、販売されたら買いたいと言ったという。

    そこで、会社はこのアンケート結果に基づき、高級志向ビールの販売に踏み切ったが、結果とは違いほとんど売り上げが伸びなかったのだそうだ。

    これにより判ったことは、人は自分がケチだと思われたくないがために、見栄を張って高級志向ビールの方がおいしいと答えたのだということであった。

    もしも、このアンケート調査が二種類のビールの値段差をそれほどつけずに行なわれていたならば、結果はかなり違ったものになったであろうということだった。

    ともあれ、人が見えを張りたいと思うのは致し方ないことなのだろうが、度を超すと軽蔑の対象ともなり兼ねないことも覚えておいた方がいいだろう。
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Posted by ちよみ at 15:01Comments(0)ちょっと、一息 36