古都の四季














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Posted by ちよみ at 21:10Comments(2)

カツ丼は、偉大なり!・・・・・372

~ 今 日 の 雑 感 ~


カツ丼は、偉大なり!



    皆さんは、カツ丼お好きですか?

    わたしは、カツ丼、大好きです。特に、ソース・カツ丼が、昔から大好物なのです。あのちょっと甘辛いウスターソースが程良く滲みたトンカツのおいしいこと。

    カツとご飯との間に敷かれたキャベツの千切りの甘さとも相まって、こんな食べ物を考え出した人は、実に天才だと思います。

    わたしは、この副甲状腺機能亢進症という病気が原因で、何年も前から、食欲がほとんどなくなり、何を食べてもおいしくなく、いつも吐き気があって、食事が取れずに大変でした。

    ところが、不思議なことに、身体がそんな状態でも痩せるということがないのです。つまり、それは、浮腫みだったのですが、そんなことは判らない素人ですから、栄養失調はますます進み、やたらにのどが渇くので、水分ばかり取っていたのです。

    これらは、病気のせいで、血液中に骨から溶けだしたカルシウムが極端に増えたことによる症状で、栄養失調の上に水分ばかりを取り続けた結果、眼球の白目の部分にまで、浮腫みが生じるほどでした。

    しかし、手術が決まっても、あまりの体力のなさに、手術中に突然死-----などということにもなれば大変だと、とにかく、手術までに何かを食べておかなくてはならないと思ったのです。

    ところが、食欲はほとんどありませんし、また、何が食べたいものがあっても、外食する体力は残っていません。母親もいろいろと食事を心配してはくれますが、まったく、食べたいと思わないのです。

    その頃になると、身体は日増しに衰え、ガリガリに痩せ始めました。手足の細さなどは、自分でも気味が悪いくらいです。皮膚は皺だらけになり、自分のことながら、これは、かなりヤバい状態だぞと、自覚し始めました。

    その時、父親が、「もしかしたら、大好きなカツ丼なら食べられるかもしれないな」と、言いだし、近所の飲食店に頼んで、毎日ソース・カツ丼を取ることにしたのです。

    最初は、「豚肉か~~」と、食傷に思ったのですが、これを一口食べて、驚きました。

    おいしいのです!久しぶりに「おいしい」という感覚を味わいました。あれほど、食べたくなかったご飯も、難なく進み、あっという間に間食してしまいました。

    その日から、ほぼ毎日のようにその飲食店から運んでもらうカツ丼を食べ続けました。

    そして、手術を済ませることが出来たのです。

    もちろん、その後も食欲がいきなり回復するということはありませんでしたが、担当医は、

    「とにかく、何でもいいから食べて下さいね。病院の売店で、スパゲティーやパンを買って来てもいいですから、好きなものをたくさん食べて下さい」

    と、言われるので、わたしも、頑張って食べるように努力しました。ある時など、母親が作ったお弁当を運んでもらって食べていると、担当医がやって来て、

    「お、いいですね~、お弁当食べているんですか。まだ、カルシウム不足は解消していませんから、もう少し頑張ってくださいね」

    と、声をかけて行かれることもありました。

    そして、退院した後も、やはり、その飲食店からいつものソース・カツ丼を取りました。久しぶりに食べたカツ丼も、とてもおいしかったです。

    あれから、カツ丼は、あまり食べていませんが、しかし、時々、無性に食べてみたくなります。

    少し大げさに言えば、わたしにとって、カツ丼は、正に、命を繋いでくれた食事だったのかもしれません。

    本当に、カツ丼は、偉大なり!-----です。icon22  続きを読む