都 市 伝 説
2012年08月05日
都 市 伝 説

都市伝説ばかりを取り上げたテレビ番組を観た。
伊勢神宮とユダヤ教が関係あるとか、株価は満月に落ちて新月に上がるとか、面白い話が多かった。
そういえば、以前、こんな都市伝説を聞いたことがある。
ある女性が耳たぶにピアスの穴を開けていたところ、ある日その穴から糸のようなものがのぞいていた。
何だろうと思って、その糸をどんどん引っ張り出してみたら、あるところでプツンと音がして、その瞬間目の前が真っ暗になり、そのまま目が見えなくなってしまったという話だった。
おかしな話である。
また、こんな話も聞いた。
男子高校生が毎日の登校途中に見るある古いマンションの一室の窓から、いつも彼を見下ろす少女がいた。
少女は白いネグリジェのような物を着ていて、元気に学校へ通う男子高校生の姿を羨ましそうに見詰めていた。
男子高校生は、この少女のことを勝手にこんな風に想像した。
「きっと、病気で学校に通うことが出来ないんだな。いつかお見舞いに行ってやろう」
男子高校生は、卒業を目前にしたある日、意を決して彼女のために見舞いの花束を買い、そのマンションへ向かった。
建物内はやけに静かで、人影も見えない。
階段を上り、少女がいるはずの部屋のドアをノックしても返事がないので、ノブを回して中へ入ると、室内はまるで廃屋同然であった。
もちろん、住人などいるはずもない。
男子高校生は気味が悪くなって、慌ててマンションから飛び出した。
また、こんな話もある。
一人の女子大生が、ある夜、同じ大学に通う女友だちのアパートの部屋を訪ねた。
ひとしきり二人で他愛もないおしゃべりをしたあとで、友だちがベッドの上へ座りながらこんなことを言い出した。
「ねえ、知っている?あたしの知り合いの一人暮らしの女の子が、この間実家の法事で数日帰省してからアパートへ戻ったら、何か部屋の中の様子がいつもと違うような気がしたんだって。
でも、別に何かが盗まれているというわけでもないので、ただの気のせいかと思って、疲れもあったのでそのままベッドで眠ってしまったんだって。
すると、夜中に何か嫌な胸騒ぎがして眠れなくなってしまったので、台所へ行って水を飲もうとベッドから出て、水道でコップに水を汲んで飲みながら何気なく部屋のベッドの方を見たら、そのベッドの下に男が一人横になってじっと彼女を見ていたんだって」
これを聞いた女子大生は、
「それって、都市伝説ってやつでしょ」
バカバカしいと笑ってから、飲み物が足りなくなったので、コンビニまで行って来ると言って友人の部屋を出た。
コンビニで買い物を済ませた彼女が友人が待つアパートの部屋へ戻ると、飲み物をテーブルの上へ置こうとした時、何とはなしにベッドの下の空間が目に入った。
すると、そこに見知らぬ男が一人潜んでいるのを見て仰天し、友人に、
「ねえ、ちょっと一緒にもう一度コンビニへ行ってくれない。買い忘れたものがあるんだけれど・・・」
そう言いながら友人を連れ出すと、その足で二人は近くの交番へ息も絶え絶えに駆け込んだ。
と、いう具合に都市伝説には、SFのようなものから、ホラーのようなもの、実際に起きそうな事件のようなものなどいろいろある。
これもまた一つの夏の風物詩だ。
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人選は満遍なく
2012年08月05日
人選は満遍なく

信濃毎日新聞に掲載されている「のびのび育児 信州はなし隊」を毎回興味深く読ませて頂いている。
若い父親や母親たちが、暗中模索しつつも子育てを頑張っている姿が彷彿として、なかなか楽しめる紙面座談会である。
その記事に、「雨の休日の過ごし方」という回があった。

「雨の休日を家族でどう過ごしますか?」との質問に、ジンヤ、はつね、みかん、百花、ジャスミン、コウタロウ、新司といったパパ、ママたちが、我が子との雨の休日について、独自の過ごし方を発表し合っているのである。
ある父親は、「子供が小さい頃は、よく相撲をした」と語り、また別の父親は、「旅行に行って家族みんなで楽しんだ」と話す。
また、別の父親は、「子供が小さい頃は、家で布団の上で遊んだ」と、言っていた。
そして、一人の父親がそれに対して、「休日は何処かに行かないともったいない気がしてしまうけど、家で過ごすのもいいですね」と、応えていた。
ここまで読み進めていて、わたしは、小さな違和感を持った。
「休日って、わたしの家には、そんなものはなかったな・・・」
そうなのである。この座談会に出席している父親たちは、おそらく全員が勤め人なのだ。
わたしの家は、商売をしているので、未だに休日も平日もない。
もしも、この座談会に、休日なしの商店経営や旅館経営などの父親や母親が入っていたら、この会話はどうなったであろうか?
おそらく、雨の日だからと言って、子供と遊んでいる時間など決してとれないのではないだろうか。
最近のアニメや漫画に生活感がなくなってきたのは、登場する子供たちがほとんどサラリーマン家庭の子供たちだからなのである。
しかし、世の中はそんな勤め人だけで構成されている訳ではない。
酒店、精肉店、雑貨店、鮮魚店、洋品店、宿泊業、飲食店、俳優、芸術家、新聞店などなど、千差万別の職業人がいるのである。
座談会形式の記事を考えるならば、そんな休日などとはほとんど無縁の人たちの声も拾う方が内容に深みや現実感が出たのではないだろうか。
この辺りで、紙面座談会の人選を一考してみるのも良いのではないかと思った。
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