「嘘!」を連発する女性
2012年10月20日
「嘘!」を連発する女性

「戦中生まれは、おしなべて教養がない」
近所の80代女性の口癖である。
産めよ増やせよの時代に誕生した世代だけに、世の中がひどい食糧難にあえいでいる頃、親も子供を食べさせることだけで精一杯のため、教育や教養までも手が回らなかった年代ということなのだろう。
そんな世代の70代前半の知り合い女性の一人に、ことあるごとに、
「嘘!」
を連発する人がいる。
わたしが共同浴場に入った時、まだ日が高い時間だったので節電も考えて浴室内の照明をつけるのを躊躇い、そのまま入浴していると、しばらくして蛍光灯がつき、その女性が入って来た。
「やだ、あんまり暗かったから電気つけて来たけれど、誰が入っているのか---って思っちゃった」
「ええ、さっきはまだあまり暗くなかったので、電気なしで入ったんだけれど、急に暗くなったみたいですね」
と、わたしが言うと、その女性は、わたしの言葉が終わらないうちに、
「嘘!」
と、叫ぶように言ったのである。この一言に、こちらはカチンと来た。
嘘とはどういうことか?こちらは本当のことを言ったに過ぎない。それを嘘というのなら、その証拠を見せてみろ!
そう反応したくなるようなほど非常識な言葉である。
そういえば、バブル期前、何かと言えば「嘘!」を連発するのが若者たちの間で流行ったことがあった。
まさか、その言葉を未だに若者言葉だと勘違いして使っているわけでもないだろうが、「嘘!」という一言が、どれほど相手の気持ちを逆なでするかまで、彼女の貧困な想像力では考え及ばないようであった。
その話を80代女性にしたところ、
「仕方がないさ、食って寝てただただ生きることしか知らないような世代だからね。こっちが大人にならないと・・・」
と、苦笑いした。
でも、そういう世代がわたしたちの上にいるとすれば、彼らが介護される側になった時、どんな世の中になるのだろうか?
息をするかわりに「嘘!」を連発されたのでは、真面目に介護をしてやろうという気もなくなろうというものである。
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巨大街コンを分析する
2012年10月20日
巨大街コンを分析する

昨夜のNHK長野局の番組「知るしん」では、先日松本市で開催された巨大街コン「松コン」についての特集を取り上げていた。
近頃、全国で開催されている参加者1000人、2000人規模の街コンだが、どうして、このような合コンが盛んになったのかを、番組では専門家の分析を合わせて紹介していた。
巨大合コンには、主に二つの目的があるという。
一つは、文字通り、若い男女に出会いの場を提供し婚活を目的とするため。
もう一つは、街全体を合コン会場と見立てることで、若者たちに様々な飲食店を紹介し、閉塞的な街の経済を活性化するという目的だという。
この「松コン」は、これで二回目の開催だそうだが、主催者側が前回参加した男女にアンケート調査をしたところ、
「同じテーブルについた相手と年齢差がありすぎて、話が合わずにつまらなかった」
「こっちは、真剣に結婚相手を探しに来ているのに、隣に座った相手が既婚者だった」
と、いうような発言もあり、今回は、参加者全員に自分のプロフィールや希望する相手の年齢や経歴などを書き込むマッチングシートを用意してもらい、それを参考に対面する相手のグループを決め、また参加者にもマッチングシートに書かれている事柄を会話のきっかけとして活用してもらうという方法をとったそうである。
スタジオでは、この街コンの様子をVTRで観ながら、アナウンサーが専門家の女性に色々質問を投げかけていた。
「どうして、今の若者たちは、ここまで至れり尽くせりで合コンをセッティングしないと、結婚相手を見付けられないのか?」
という質問に対して、専門家の答えは、
「彼らは、いわゆるゆとり教育世代よりも年齢的にはやや上の世代なのだが、それより上の世代に比べても競争社会の原理を知らない人たちなのだ。学芸会では皆が主人公を演じたような学校生活を送った彼らには、相手を打ち負かしても意中の人を奪いたいというような積極性はない。
しかも、かつては街の中に大勢いた男女の仲を取り持つお節介おばさんがいなくなったのも、独身男女を増やす原因になっている。そんなお節介おばさんの役割を、こうした地域の街コン実行委員会が肩代わりしているわけだ」
というものであった。しかも、
「かつてのバブル期に若者だった人たちは、高い向上心や野心もあり、田舎で就職するよりも都会へ出てひと旗揚げたいと思ったものだが、今の若者たちはそれほど大きな夢を持たない。地元で就職して、地元で結婚し、子供をつくり、地道に生活の基盤を固めたいという気持ちが大きい。
それには、見ず知らずの人が主催する合コンなどへ参加するよりも、身近な人たちが主催する合コンに参加する方が安心感があるということで、こうした地域密着型の街コンが流行るのではないか」
と、分析していた。
今度は、長野市でもこの街コン「長コン」が開催されるという。
こうした巨大合コンをきっかけに結婚相手が見付かれば、それはもちろん幸いだが、出会いの経験が少ない若者たちにとっては、これを機会に異性との会話を楽しむだけでも人生の張りあいになるのではないだろうか。
多種多様な意見の交換が出来れば、知識の幅も広がり、人間的厚みも増すことになる。
人が一番自分を解放できるのは食事をしている時だともいわれるので、異性との出会いを求める独身者は、一世一代の婚活なのだと神経質にならずに、あえてレクリエーション気分で参加してみるのも人生勉強になるのかもしれない。
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