わたしは、妻ではありません・・・・・563

~ 今 日 の 雑 感 ~


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    一昨年、わたしが入院していた時のこと、夜になると病室へ弟がやって来て、身体がよく動かないわたしのためにペットボトル入りのミネラルウォーターを買ってきたり、漫画本を置いて行ったり、汚れものを持ち帰ったりと、色々手伝ってくれていた。

    それも、ほぼ毎日である。

    弟は、身長が183センチもあって体格もいいので、病棟ではなかなか目立っていた。

    同じ病室の高齢の女性などは、弟にカーテンを閉めてもらったりもして、他の入院患者さんたちも弟と気さくに話をしていたものである。

    そんな一人の高齢の女性患者さんのお見舞いに、時々四十代ぐらいの女性が現われていたが、彼女はいつも夕食時に来ては、その患者さんのそばでタッパーに詰めた果物やお惣菜を出しては、患者さんと一緒に食べていた。

    やがて、わたしは退院し、それから二ヶ月ほどしてまた短期の入院をしたのだが、その時も、まだその高齢の女性患者さんはその病室にいて、わたしもまた偶然彼女のそばのベッドになったのである。

    すると、その高齢女性がこう話しかけて来た。

    「この前ここに来ていた若いのね、あれ、うちの嫁さんなんだけれど、あんたのご主人と高校の同学年だったんだよ」

    「はあ・・・・?」

    「ほら、この前あんたの所へ良く来ていた背の高いご主人がいたでしょ。あの人とうちの嫁が高校時代同じ学年だったんだって。それでね、嫁が言うんだけれど、高校の時から背が高くてかっこいい人だなァって思っている女子生徒が何人もいてね・・・・。こういっちゃなんだけど、どうして、あんたみたいな年上と一緒になったのか判らないって言うんだよ。あんた、ご主人と、何処で知り合ったの?」

    わたしは、思わず言葉に窮した。

    何処で知り合ったのかといわれても、それは我が家で、しかも、あいつの方がこちらの同意も得ずに勝手にあとからやって来たのだ。

    しかも、知り合って既に半世紀弱にもなりなんとしている。

    わたしは、この女性がまったくの勘違いをしていたことが判り、

    「あの~、わたしに主人はいませんけれど・・・・」

    と、答えると、女性は不思議そうにこちらを見る。

    「あの大きいのは、わたしの弟なんです」

    わたしが言うと、女性はびっくりした顔で、な~んだ、そうだったの----と、安堵とも拍子抜けともつかない声を出し、

    「それじゃァ、嫁に言っておかなきゃ。てっきり、あんたがあの男の人の奥さんだと思っていて、本当は、自分だってあんたの弟さんと一緒になりたかったみたいなこと言っていたからさ・・・・」

    わたしは、思わず笑いそうになってしまった。

    だって、そのお嫁さんが結婚しているのは、あなたの息子さんでしょう。お嫁さんもお嫁さんなら、この姑さんも姑さんだなと、呆れるばかりであった。

    それにしても、「あんな年上女房」で、悪うございましたね。

    「あんな」----には、どうにも引っかかったが、そのことをあとで弟に話したら、奴は一言、

    「確かに、結婚は、早まったかもしれないな・・・・」

    そうそう、弟の本当のお嫁さんを知ったら、ある意味、なお仰天するかもしれないな。(爆)

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『友愛』ってなんですか?・・・・・562

~ 今 日 の 雑 感 ~


『友愛』ってなんですか?



    鳩山総理が自らの政治理念として掲げる『友愛』の言葉は、かつてのオーストラリア駐日大使と日本女性との間に生まれたクーデンホーフ・カレルギー伯爵が提唱した『同胞愛』から取ったものであるらしい。

    このカレルギー伯爵の言葉を鳩山総理の祖父である故・鳩山一郎氏が『友愛』と訳し、孫がそれを政治理念としているのだという。

    伯爵は、欧州連合(EU )創設の先駆者とも言われており、鳩山総理もこの理想に触発されているものと思われる。

     かつては数百年にわたって戦い続けて来た歴史を持つ敵対国同士であったドイツとフランスが、第二次大戦後、自由な市場主義を否定するソビエト連邦を同じ敵と認識した時、初めて手を結ぶことができたのである。

    そして、それが現在のEUの基礎ともなったのだという。

    鳩山総理は、このドイツとフランスを日本と中国に見立てて、欧州連合ならぬ『東アジア共同体』を打ちたてようと目論んでいるのだそうだ。

    しかし、ドイツとフランスのような経済が同水準の国同士が手を結ぶことは可能であるが、如何に中国が今後世界第二位の経済大国にのし上がるとはいえ、日本との生活水準から量る経済格差は10倍以上にもなる。

    今の時点で、この両国がドイツとフランスのような関係になれるとは到底考えられない。

    それに、アメリカがこの両国が中心となる経済統合に自分も入れて欲しいと言い出すことは必至である。

    また、『東アジア共同体』となれば、各国の通貨もEUにおけるユーロのように統一されることになるだろう。

    そうなった場合、通貨統合の基準を何処にするのかという問題も大きいし、日本の円、中国の元、アメリカのドルも消え、新たな通貨が生まれるということなのである。

    となれば、必然的に共同体加盟国の国民は互いの国を自由に行き来できるようになり、日本国内にも大勢の中国やアメリカ、その他の東アジア諸国の労働者が押し寄せることにもなる。

    しかも、この経済格差のままでそういう状況が続けば、日本経済にとっての打撃は量りしれず、また、職を外国人に奪われる日本国民も黙ってはいないだろう。ただでさえ日本国内には、まだまだ外国人に対して排他的な感情を持つ人々は多い。

    とても、『友愛』などという生易しい言葉で懐柔できるような状況にないことは明白である。

    ある学者は、こう言っているという。

    「日本人は顔はアジア人だが、その生活スタイルと経済の心は欧米人である」と----。

    でも、この『友愛』の理念だが、かつての『大東亜共栄圏』と、何処か似た匂いがすると思うのは、わたしだけであろうか?

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