恋は闇の中で育まれる
2012年09月14日
恋は闇の中で育まれる

「しのび合う恋を つつむ夜霧よ 知っているのか ふたりの仲を~」♪
石原裕次郎が歌った『夜霧よ今夜も有難う』のフレーズである。
恋人同士は、出会ってはいけない運命だった。しかし、夜霧がそんな二人を結びつけた。
正に、夜という闇の力があればこそ、恋は一層深いものになったのである。
この歌のように、暗闇や暗がりが人の気持ちを近付けるという理屈は、心理学的にも証明されているそうだ。
アメリカの心理学者・ガーケンらは、明るい部屋と暗い部屋のそれぞれに男女六人~八人のグループを入れ、一時間にわたり彼らの行動を観察するという実験をしたそうである。
すると、明るい部屋の中へ入れられた男女は、お互いに離れたところの椅子に腰かけたまま、さしさわりのない挨拶を交わすだけで、それ以上近付こうとはしなかったそうだ。
だが、暗い部屋の中へ入れられた男女は、最初のうちは離れて腰かけていたものの、やがて同性同士が会話を交わし始め、それが次第に異性間の会話となり、そのうち席を移動し始めるや、男女が寄り添うように座り、中には抱き合う者まで現れたのだという。
このように、お互いの顔がはっきりとは識別できないような暗がりの中では、人は心のガードがゆるんで、一気に親近感や安心感が増すということが判ったのだそうである。
誰でも見知らぬ相手に大して自分をオープンにすることには抵抗感がある。
しかも、体裁をつくろわなければならない相手には、さらにガードが固くなるのは当然の反応である。
しかし、暗がりにいる時は、その体裁を作る必要がほとんどなくなることで、素の自分をさらけ出すことへの抵抗感が薄れるのである。
突然の停電やキャンプファイアー、映画館、劇場、店内照明が薄暗い飲食店、お化け屋敷などが恋の芽生えを後押しするシチュエーションになることが多いのも、そういう理由があるからなのかもしれない。
ところが、こうした親近感を懐くのは、何も男女間に限ったことではなく、同性同士の間にもいえるのだという。
バーやクラブ、スナックなどは、ほとんどの店が照明を暗くしている。
ビジネスの付き合いのある人と親しくなりたい場合は、こうした場所を活用するのも良い方法なのだそうである。
人は、暗がりに不安や疑心を持つものである。
そこで、知らず知らずのうちに自分の味方になる相手を見付けたいという本能が働くということもあるのだろう。
あなたに少しばかり今までより親密度を増したいと思う相手がいるのなら、こうした暗がりを利用するという手もあるようだ。
点滴台のもう一つの活用法
2012年09月14日
点滴台のもう一つの活用法

病院にいると、実に足の悪い人が多いことが判る。
そういう人たちは、院内へ入ると用意されている車椅子を使ったり、シルバーカーのような歩行器を使うのが常なのだが、患者さんが多い時などは、それらが全て使われてしまっている場合がある。
また、それほど高齢者でもない人たちは、杖や歩行器を使うのを恥ずかしいと思ったりするものなのだ。
知り合いのある女性は、院内が広すぎて、あっちで検査、こっちで検査、向こうで診察----といわれる度に泣きたくなるという。
階段をのぼらねばならない時などは、「もう、帰ろうかと思うこともある」と、話した。
「エレベーターがあるじゃないですか」
わたしが言うと、そのエレベーターのところまで行くのも大変なのだそうである。
実は、わたしも足がほとんど動かなかった時があったのだが、それでも入院中は病院内を自分一人で歩き回ることが出来た。
それは、点滴台を杖がわりにしていたからである。
点滴台は、もちろん点滴治療が必要な患者が、院内を動き回れるように押して歩く器具だが、これにはキャスターが付いているので、歩行の補助具としても十分利用が可能なのである。
空手では五メートルも歩けなかったわたしが、これがあるだけで自由に院内を歩くことが出来た。
そこで、退院してからは、家の中の廊下を行く時は、キャスター付きの椅子を押して移動することにした。
これは、なかなかのアイデアで、かなり重宝したものである。
そんな訳で、もしも、既に使わなくなったような点滴台があったら、病院の入口付近にそれを数台置いておくだけでも、患者さんの歩行器代わりになるのではないだろうか。
しかも、シルバーカーのような大仰な抵抗感もないし、カバンなどをちょっとかけておくことも出来て便利だと思う。
知り合いの女性の言葉を聞いていて、ふとそんなことを思いついた。
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